人生には無駄が必要だ
美術館に行ってきたので、その話
時間ができたので地球がまわる音を聴く : パンデミック以降のウェルビーイング に行ってきました。
美術への感想は100人いれば100通りの感想があると思うので、それを踏まえて個人的な感想を、みてきた事を振り返って咀嚼しながら書いていこうと思う。
イベントのコンセプト
イベントのサイトからの引用です。
2020年以降、目に見えないウイルスによって日常が奪われ、私たちの生活や心境は大きく変化しました。こうした状況下、現代アートを含むさまざまな芸術表現が、かつてない切実さで心に響きます。本展では、パンデミック以降の新しい時代をいかに生きるのか、心身ともに健康である「ウェルビーイング」とは何か、を現代アートに込められた多様な視点を通して考えます。自然と人間、個人と社会、家族、繰り返される日常、精神世界、生と死など、生や実存に結びつく主題の作品が「よく生きる」ことへの考察を促します。
https://www.mori.art.museum/jp/exhibitions/earth/から引用
心身ともに健康である「ウェルビーイング」とは何か。この言葉はただ同じ毎日を繰り返しがちな大人に響いてくるのではないでしょうか。(僕は響いた)
心と身体が健康的であること。
どちらかが欠けても、シーソーのバランスが崩れるように、心の琴線が弾けたり、身体の不調に繋がってしまうなぁ〜と再認識する言葉であると思いました。(あまり考えることなかったですが、人間は日々このバランを均衡に保とうとし、何とか生きているのはすごい。えらい。)
また、本展のタイトルにある「地球がまわる音を聴く」はジョン・レノンの奥さんであったオノ・ヨーコのインストラクション・アートから引用されています。
「地球がまわる音を聴く」それは宇宙から見たら、人間の活動は宇宙の営みの一部に過ぎない事を想像させ、新たな思索に導いてくれるもの。
パンデミック以降の世界において、人間の生を本質的に問い直そうとするとき、こうした想像力こそが私たちに未来の可能性を示してくれるのではないでしょうか。
https://www.mori.art.museum/jp/exhibitions/earth/から引用
パンデミックによって、日常に大きな変化をもたらし、あったはずの物や事が破壊され、表現の欲が抑圧されて長い期間が経ちますが、これからどう生きていくのか。そもそも生きるってなんだろうか。そのような考えを再構築していこうというメッセージを感じ取ることが出来ました。

見学して
会場は象徴的な文章、映像、写真、絵画、図画工作みたいなやつ。。など国内外のアーティストによる作品を通して、ウェルビーイング、「よく生きる」ことについて考えさせられました。
インスタレーション、彫刻、映像、写真、絵画など、国内外のアーティスト16名による約140点の作品を紹介します。五感を研ぎ澄ませ、作品の素材やスケールを体感しながらアートと向き合うことは、他者や社会から与えられるのではない、自分自身にとってのウェルビーイング、すなわち「よく生きる」ことについて考えるきっかけになることでしょう
https://www.mori.art.museum/jp/exhibitions/earth/から引用
作品を通して感じた事は、世の中にはたくさん面白い事を考えている人がいるなぁと思ったのと同時に、それを自分オリジナルの表現に昇華させているのは素晴らしいし、その行動力は尊敬しかないなと感じた。
たぶん多くの人は、今の時代は生きやすい時代ではないと感じていると思う。
いつ戦争が起きてもおかしくはないし、経済も不安定で、物騒な事件もニュースから目にする頻度が増えた気がする。少子高齢化による年金の問題や今のスキルで仕事は大丈夫かとか、将来への不安はいつも付き纏う。
でも、考えすぎるのも良くない。作品を通して感じたのは「無駄に生きること」も大事なんじゃないかなと思った。
不安な事は消えないが、考えても解決されない事はたくさんある。それよりも自分が大事にしている事と向き合って、それが他人から見たら無駄に思える事でも、自分がこれをしたいと思った事に時間を投下して生きる時間も大事だと僕は感じました。
印象に残っている事として、堀尾昭子 の紹介文の中で日々の制作時間について記載があったのですが、
「日々の制作時間は、全ての用事を済ませた21時頃からの1~2時間程度で、それは本人が「天国」だと言うように作品にだけ集中できる至福の時となってきました」
イベントの紹介文から引用

僕はこの言葉がウェルビーイングを語っているんじゃないかなと少し腑に落ちました。
自分がこれをしている時に「天国」だなと思える時間を持つこと
それがウェルビーイング「よく生きる」に繋がるのかなと
美術に対する感想は100人いれば、100通りの考えがあると思う。
今後の未来をどう生きていく。今一度再構築するきっかけがここにはあるので、ぜひそんな時間をお探しの方は足を運んでみてはいかがでしょうか。
ota